2023.8.4

ジョブ型人事制度と給与の関係性

近年、ビジネスの世界では「ジョブ型人事制度」が大きな注目を浴びています。一方で、その具体的な運用方法や給与体系との結びつきについて理解している企業はまだまだ少ないのが現状です。このブログ記事では、ジョブ型人事制度と給与体系との関係について掘り下げ、企業がこの新しい制度を効果的に活用するための知識を提供します。これからの時代、変革の波に遅れを取らないために、まずは理解から始めてみましょう。

ジョブ型人事制度とは?

ジョブ型人事制度とは、個々の社員が自己のキャリアを自己責任で築いていくことを前提とした人事制度のことです。伝統的な「職階型」や「年功序列型」の人事制度と比較すると、ジョブ型人事制度は従業員一人ひとりが自分の能力やスキルを最大限に活用し、企業全体の成長に貢献することを強く推奨します。

この制度では、職種や業務内容に基づいて役割(ジョブ)が設定され、それぞれのジョブに対する報酬が定められます。社員は自分のスキルや興味、キャリア目標に基づいてジョブを選び、そのジョブでの成果や貢献度によって評価・報酬が決まります。

ジョブ型人事制度は、一人ひとりの社員が自分の働き方を選択し、自己実現を追求できるようにするための制度です。従来の「一生安定」の考え方から、「一生成長」の思考にシフトすることで、企業と社員双方が恩恵を受けられる新たな働き方の形を提供します。

しかし、ジョブ型人事制度を導入し成功させるには、適切なスキルの評価と育成、給与体系の見直し、組織文化の変革など、多くの課題を解決する必要があります。今後の記事で、これらの課題について詳しく解説していきます。

ジョブ型人事制度における給与の決まり方

ジョブ型人事制度における給与の決まり方は、主に職務内容やその業績に基づいています。従来の年功序列型制度では、経験年数や年齢を基準に給与が設定されるのに対し、ジョブ型人事制度では個々の職務に応じた給与が設定されます。

具体的には、まず企業は各職種や業務内容に応じてジョブ(役割)を設定し、それぞれのジョブに対する報酬を明確にします。これは「ジョブ価値」と呼ばれ、ジョブの難易度や求められるスキル、組織に対する影響度などによって決定されます。

次に、社員は自分のスキルやキャリア目標に基づいてジョブを選びます。選択したジョブに基づいて給与が決定され、その業績や成果により評価され、給与の増減が決まります。この給与体系は「パフォーマンスリンク」方式とも呼ばれ、社員の働きが直接給与に反映されるため、社員の意欲やモチベーションを高めることが可能です。

ただし、ジョブ型人事制度を導入する際には、適正なジョブ価値の設定や公正な評価体系の構築が必要となります。また、社員が自身のキャリアを自己責任で築くための教育やサポートも重要となります。これらの要素をしっかりと準備し、整備することで、ジョブ型人事制度を成功させることができます。

ジョブ型人事制度で給与のメリットを受けられる人

ジョブ型人事制度における給与の決定は、各職務のジョブ価値と個々の社員の業績や貢献度に基づいています。そのため、特にこの制度で給与のメリットを享受できるのは以下のような人々です。

  1. 高いスキルや専門性を持つ人: ジョブ型人事制度では、特定の専門性やスキルを持つ人々がその価値を正当に評価され、報酬が上がる可能性があります。例えば、特定のテクノロジーに精通しているITプロフェッショナルや、深い知識と経験を持つコンサルタントなどが該当します。
  2. 成果を出す人: この制度は「パフォーマンスリンク」方式をとっているため、明確な成果を出すことができる人々は、その業績に応じた報酬を受け取ることができます。目標達成やプロジェクト成功など、具体的な結果をもたらす能力が評価されます。
  3. 自己主導でキャリアを築く人: ジョブ型人事制度では、自分のキャリアを自己責任で設計し、自分のスキルや興味に合わせて適切なジョブを選ぶ能力が求められます。この能力を持つ人々は、自分の強みや専門性を最大限に活用し、給与のメリットを享受することができます。

ただし、ジョブ型人事制度の適正な運用には、明確で公平な評価基準と、社員のキャリア開発を支援する教育やトレーニングが必要です。これらが整って初めて、ジョブ型人事制度は社員と企業双方にとってのメリットを最大限に引き出すことができます。

ジョブ型人事制度で給与のデメリットを受ける人

ジョブ型人事制度は、個々の業績やスキル、ジョブの価値に基づいて給与を決定します。そのため、この制度がもたらす給与のデメリットを受ける可能性がある人々は以下のようになります。

  1. スキルアップや成果の可視化が難しい人: ジョブ型人事制度では、スキルの高さや業績が直接給与に影響を与えます。そのため、自分のスキルを磨く機会がない、または自分の成果をはっきりと示すことが難しい人々は、給与のデメリットを感じるかもしれません。
  2. 安定志向の強い人: 従来の年功序列型の制度では、社員は経験年数や年齢に応じて安定した昇給を期待することができました。しかし、ジョブ型人事制度では、給与は業績やジョブの価値に直接連動します。そのため、安定した給与を求める人々にとってはデメリットと感じることがあります。
  3. キャリアプランニングが苦手な人: ジョブ型人事制度は、自分のキャリアを自己責任で設計し、自分のスキルや興味に合わせて適切なジョブを選ぶ能力を求めます。しかし、自分のキャリアプランを具体的に立てることが苦手な人々は、この新たな制度に適応するのが難しいかもしれません。

これらのポイントは、ジョブ型人事制度が必ずしも全ての人に適しているわけではないことを示しています。企業側としては、ジョブ型人事制度の運用に際しては、これらのデメリットを補うためのサポート体制を整え、公平な評価基準を設けることが重要となります。

これからジョブ型人事制度の導入を検討している方へ

ジョブ型人事制度の導入をこれから検討する皆様へ、まず、この制度が企業にもたらす可能性について理解することが重要です。ジョブ型人事制度は、従業員の能力と業績に基づく公平な評価と報酬を提供し、社員の意欲を引き出すことで企業全体のパフォーマンスを向上させることが可能です。

しかし、その一方で導入には注意が必要です。まず、企業は各職務の適正な価値を設定し、それに基づく公正な評価と報酬体系を構築する必要があります。これには給与体系の全面的な見直しと、公平な評価を保証するための評価基準の設定が必要となります。

また、従業員が自身のキャリアを自己責任で築くことを前提としたジョブ型人事制度では、企業は社員のキャリア開発をサポートする役割を果たさなければなりません。これには職務選択のための情報提供や、スキルアップを支援する教育・トレーニングが求められます。

さらに、従来の職階型や年功序列型の人事制度からの転換は、組織文化に大きな影響を与えます。社員の理解と協力を得るためには、なぜジョブ型人事制度を導入するのか、その目的と利点を明確に伝え、社員一人ひとりが新しい制度に適応できるようサポートすることが重要です。

ジョブ型人事制度の導入は、企業の成長と進化の一歩となることでしょう。その成功のためには、前述した要点を念頭に置いて計画を進め、全てのステップで社員と共に歩むことが求められます。一緒に新たな働き方を創り上げていきましょう。

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